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パワハラ上司について
職場で働いていると、たまに遭遇してしまう【パワハラ上司】。
今回は、パワハラ上司という存在について、実体験を元にお話します。
これを読んでいる方の中には、自分自身がパワハラで苦しんでいたり、周りの人がパワハラにあっているという話を聞いたりで、”パワハラ”という言葉に触れることも多いと思います。
私も前職でパワハラ上司の怒号鳴り響く毎日を過ごし、徹夜を強制されたり、理不尽な要求を突きつけられたり、眠れない日も続いた経験があります。
会社の人からは、私の前任の人は「こいつ、自殺するんじゃないか、というぐらい追い詰められて辞めていった」と聞きました。
私はパワハラに耐えきれず、3年でこの会社を辞めました。
しかし、今回記事では、単純に「パワハラ上司は絶対悪」とも言い切れない可能性を示唆した、【パワハラ上司の正体】について語りたいと思います。
事実、私はこのパワハラ上司のことは今では憎んでいませんし、怒りの感情もありません。世間一般の”パワハラ”とは違った視点で、今回は語っていきたいと思います。
また、後半では実際にパワハラ上司と遭遇してしまった時の対処法についても記載させていただきます。
パワハラの定義
まずはパワハラの定義について確認です。
■職場のパワーハラスメントとは
職場のパワーハラスメントとは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内での優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいいます。
それでは私の実体験についてお話させて頂きます。
【実録】私のパワハラ上司
パワハラ上司との出会い
今から10年以上前、私が20代中盤の頃のお話です。私は未経験でIT関係の職場に入社しました。社員は10名ぐらいの小さい会社で、その上司はチーフを務めており、年齢は30代中盤ぐらいで、既婚で小学生に上がるくらいの子供が1人いました。
そのパワハラ上司の特徴がこちらです。
・超がつくほどの神経質で完璧主義
・頑固一徹で他人の主張を受け入れない
・一度頭に血が上ると冷静な議論ができなくなる
・意見に反論すると1時間以上の怒号説教コース
・自分の言動が客観的に見えていない
・業務中にずっと趣味のHPを堂々とネットサーフィン
・口癖が「俺には分からん」「〇〇になった場合に困る」「何の意味もない」
本当に、吐きそうなぐらい細かく指摘する上司でした(笑)
私が作った社内資料に対して、「ここのグラフではこの数字なのに、ここの表の数字が違うのは何で?こんな資料は信用できん!数字が違ってたら何の意味もない!お前は信用できん!」と、資料の中の一部の表記が間違っていただけで、仕事ぶりや人格を否定するかのような発言のオンパレードです。
またある時は、私の仕事の進め方が気に食わなかったのか、「そんな仕事の進め方をしてたらいつまで立っても終わらん!お前はなんでそんな非効率なやり方をしてるんだ!時間を返せ!時間がもったいない!」という説教を、延々2時間させられたりもあります。
本来、その説教されている2時間で仕事ができるはずが、上司の言動が一致していないのです。
もしこちらが「この説教の時間を業務に当てたいのですが。。」と言い出そうものなら、「お前のせいで俺がこんな話をしなければならないんだろうが!俺のせいにするな!あの時だって・・・」と、更に30分延長して説教が始まります。
こちらが上司の言い分に対して論理的に反論しても、「俺には分からん!」の一言でぶった切られ、反論してしまうと説教が延々と長引きます。
本当に理不尽かつ意味不明な言動で、職場の人全員がその人に近づきたがらないような人でした。
パワハラの正体に気づいたきっかけ
そんな理不尽な毎日を過ごしていたわけですが、その上司のもとに私と一緒についていた40代の理解してもらえる同僚が新しく入りました。
その同僚の存在が、私にパワハラの正体に気づかせてくれるきっかけになってくれました。
その人は私より経験豊富で仕事もできる人だったのですが、やはりパワハラ上司の餌食になり、私同様、理不尽な言動に振り回される様になりました。
ある時、社内IT調査の一環で、私、上司、同僚の3人で調査を進めていました。
ところが上司はその調査の進捗状況が気に入らなかったようで、さらに本人の精神状態も悪かったようで、いつも以上に理不尽に怒鳴り散らし、声と手を震わせ、明らかに感情と言動が一致していない様子で、感情を爆発させていました。
その様子は本当に不気味としか言いようがなく、何かに取り憑かれたとしか思えないような、自分でもどうしていいか分からない怒りに振り回されているようにも見えました。
そしてその上司が帰ったあと、同僚がポツリと私にこう言いました。
「あの人、心の病気だと思う。」
その言葉に、「私もそう思います。」と答え、その日、私は帰って心の病気について調べ始めました。
そして、調べている中で「パーソナリティ障害」という言葉を初めて知りました。
その言葉を知った瞬間、長年自分を苦しめていた本当の正体を知り、霧が晴れた思いになりました。
パーソナリティー障害とは
パーソナリティ障害は、大多数の人とは違う反応や行動をすることで本人が苦しんでいたり、周りが困っているケースに診断される精神疾患です。認知(ものの捉え方や考え方)や感情、衝動コントロール、対人関係といった広い範囲のパーソナリティ機能の偏りから障害(問題)が生じるものです。注意したいのは、「性格が悪いこと」を意味するものではないということです。
パーソナリティ障害には、他の精神疾患を引き起こす性質があります。パーソナリティ障害と合併したほかの精神疾患が前面に出ることが多いので、パーソナリティ障害は背後から悪影響を及ぼす黒幕のような病気だということができます。
※厚生労働省:こころの病気を知るより引用
メンタル疾患の一種で、性格が悪い、性格に難がある、と言われるような周囲とのトラブルが絶えないような人がその可能性があるようです。
パーソナリティ障害と一口に言っても、10タイプも存在します。この上司は、【強迫性パーソナリティ障害】というタイプに該当しそうということが分かりました。
注意点として、私は専門家ではなく、パワハラを行う人すべてがメンタル疾患である、という主張を言いたいわけではありません。あくまでも可能性の一つであり、この記事では客観的な情報を入れて解説したいと思います。
強迫性パーソナリティ障害とは
強迫性パーソナリティ障害患者では,秩序,完全主義,ならびに自身および状況のコントロールに対するとらわれが柔軟性,効率,および率直さの妨げとなる。自分の活動について柔軟性がなく,頑固である患者は,あらゆる物事が特定の方法で行われなければならないと主張する。
コントロールしている感覚を維持するために,患者は規則,詳細,手順,スケジュール,およびリストを重視する。その結果,計画や活動の要点が見失われる。このような患者はミスがないか繰り返し確認し,細部に法外な注意を払う。時間を有効に利用することがなく,しばしば最も重要な仕事を最後まで残してしまう。細部および全てを完全にすることへのとらわれのために,完了が際限なく遅れることがある。患者は自分の行動が同僚に影響を及ぼしていることに気づかない。ある仕事にかかりきりになると,生活の他の側面全てを怠ることがある。
あらゆることを特定の方法で行おうとするため,仕事を任せたり,他者と一緒に働いたりすることに困難がある。他者と一緒に働く場合,患者は仕事をどのようにやるべきかについて詳細なリストを作成し,同僚が別の方法を提案すると動揺することがある。スケジュールに遅れている場合でも手助けを拒否することがある。
※MSDマニュアルプロフェッショナル版より引用
診断基準が以下の8つあり、4つ以上該当でその疑いがあるようですが、この上司は少なくとも5個当てはまり、他3つも断言はできないものの怪しいな、と思える特徴でした。
繰り返しになりますが、私は専門家ではありませんし、メンタル疾患は非常に複雑な背景や本人の資質が影響しています。素人の私の判断が正しい、というつもりはありませんので、あくまでも可能性の一つである、という目線で見て頂ければと思います。
ただ、この上司がメンタル疾患であるという可能性は、私自身「この上司が悪いのではなく、正体は心の病気だったんだ」と、思え、心の救いになったことは事実です。
私はこの時に、「罪を憎んで人を憎まず」という言葉に心の底から共感しました。
その後の私の行動について
さて、パワハラ上司がメンタル疾患の可能性があると知った私が次に起こした行動は、更に上司に当たる部長に直接相談しました。
小さな会社でしたので、実質この部長が会社を取り仕切っていて、部長も上司の言動に問題があることは把握していましたが、部長自身も手を焼いていました。
部長に上司がパーソナリティ障害の可能性があること、調べた情報を印刷して渡して、対応について考えてもらいました。
後日、部長が下した決断は、「たぶんそうだと思う。しかし会社としては何もしない。」でした。
その部長の考えとしては、そういった問題は家族間で解決する問題であり、会社が介入する問題ではない、と判断したようです。
私は正直納得できませんでした。なぜなら、会社の人全員に悪影響を及ぼしていたからです。誰もその人に近づこうとせず、爆発すると周りの生産性を著しく低下させ、働く人のストレスも増加させている状況で、何もしないという選択肢は。
自分だけで解決できる問題ではなく、かといって周りを巻き込んでの解決手段を失った私は、
「あとどれだけ、自分の貴重な人生の時間を、この人の説教で奪われるのだろうか」
と考え、退職を決意しました。
その後、その上司がどうなったかは私もわかりません。。
パワハラ上司への対処法
ここでは、私がパワハラ上司に対して当時行っていて効果があった対処法や、当時を振り返ってみて、パワハラ上司から逃げるタイミングを紹介します。
- 意見を絶対に否定、批判しない
- どんなに理不尽な意見でも一度肯定する
- どうしても従いたくない時は代替案を用意する
- 説教モードに入ったら反論はしない
- 中立の立場を貫く(味方になりすぎるとこちらに依存してくる)
- 言われたこと以上のことはしない
これを書いていると、かなり無茶があるように思えます(笑)
どんなに無茶苦茶な要求をされても、「そうですね。一理あると思います。」と答え、やりたくないとは言えません。
また、代替案を用意するにしても、その上司を納得させられる案を用意するのは至難の業です。
結局、本人の虫の居所次第になるので、こちらがどんなに事前に周到準備をしたとしても、本人の機嫌が悪ければ何をしても無駄に終わることが多いので、必要以上のことはしなくなりました。
上記に書いた内容は、火に油を注がないための方法であって、火を消したり火を立たせない方法は残念ながら存在しません。
こちらに書いた内容は、あくまでも対処療法であって、この問題を根本的に解決するためには、その人へのカウンセリングや治療が必要だと考えます。
パワハラ上司から逃げるタイミング
前提としてですが、絶対に自分の心身が限界になる前に逃げて下さい。
いま思えば、パワハラ上司から逃げるタイミングとしては、
- 【この人と一緒に仕事をするのは無理かもしれない】の状態が3ヶ月以上続いた時
- 眠れない日が続く時
- 朝起きて「仕事に行きたくない」と思う日が続く時
上記が揃えばもう我慢する必要はありません。
パワハラ上司の性格が問題ではなく、心の病気が原因だったとしても、ストレスを受けている被害者には関係のない話です。
部署異動や休職、退職などで、まずは自分自身の心のケアを優先しましょう。
私は幸い(?)にも、メンタルが強くなったおかげで、精神的にはまだこの上司と一緒に仕事をすることが出来ました。
ただ、一緒に仕事をして自分の時間が奪われる続けることは耐えられなくて退職しました。
まとめ
ここではパワハラ上司は、実はメンタル疾患の可能性がある、という事を述べてきました。
繰り返しになりますが、これはあくまでも可能性の話であり、専門家の見解ではありません。
病状の特定には正式な医師の診断が必要なので、素人が調べてわかる範囲で記載させていただいています。
ただ、私が遭遇したパワハラ上司は、「そういう性格」という次元のものではなく、「何かに取り憑かれた」レベルの理不尽な言動で、周囲を振り回していました。
私の個人的な見解ですが、「心の病気としか思えない」のです。
パワハラ上司自身も、そんな自分の心の葛藤に悩んでいる、もしくは心の葛藤に気づいてすらいないかもしれない、とすると、一体誰が被害者なのか分からなくなってきます。
私は、この上司のことを憎むのを止めました。
今パワハラで悩んでいる方も、違った視点で参考にしていただき、自分の心のケアを優先して貰えれば幸いです。